アバター

 息子が実家にいる間を縫って、ヨメと二人で見てきました。レイトショーだったので眠気が心配でしたが、眠気を感じるヒマは無い映画でしたね。

(以下ネタバレ)
 映像美はさすが、という感じでしたが、正直メインストーリーはありきたりで、ちょっと残念でした。「アバターを操作する」のが目新しいとはいえ、要は「土着民に馴染んで、情が移り、侵略者側を追い払う」という、ある意味使い古された話なわけで。物語半ばでラストが想像できてしまった時は、ちょっと食傷気味になりました。

 伏線の張り方と回収の仕方は見事で、良くできた良質な映画であることは間違いありません。ただ、歴史に残る映画かどうかとなると、あくまで映像技術やCGの見事さ、世界を構築したという点であって、ストーリー云々ではないなあと。それに、確かにCGは見事なのですが、まだ「実写と見紛う」まではいっていないですし。特に物と物が接した時(生物にまたがる、物をつかむ、など)は「あ、CG」と分かってしまいますし、残念ながら完全に没入しきるまでは至りませんでした。
 それと個人的に残念なのは、主人公側に味方した人間たちが、「戦いの中で死んで終わり」という、一番シンプルな結末を迎えたこと。グレースの死は最後の主人公の「転生」への布石なのでやむを得ないと思うのですが、女性パイロットと同僚男性の死は、「最終決戦に持っていくには必要だったけど、エンディングには邪魔だから」殺された感があって、ちょっと納得がいきませんでしたねえ。
 「生き残ったらどうするんだろう?」と思っていたら、「あ、死んだ」みたいな感じだったので。そりゃ死人に口なし、死んでしまえば始末の仕方も考えなくていいわけで、楽なんでしょうが。あれはご都合主義な感じがして好きになれませんでした(というか、あそこで冷めたかも)。

 あとは、最初重要なサブキャラっぽく登場した主人公の同僚男性が、あっという間にメインストーリーからフェードアウトしたのが納得いきませんでしたねえ。もっと友情育むとか、ちょっとライバルっぽくなるとかせえよと。何のためのキャラクターかよく分かりませんでした。
 家内と話になったのは、「敵がうすっぺらい」という点でした。主人公の将来を気遣ったりという細かいネタは出てくるんですが、「わるいひと」という描き方に抵抗がありましたね。「ダークナイト」のジョーカーみたいに振り切れてればいいんですが、職業軍人で、ただ冷徹非常、というステレオタイプな描き方に「ああ、これは自分が作り出した世界を見せびらかしたいだけの映画なのかも」と穿った見方をしてしまいました。

 個人的には、「沈没するというラストは決まっているのに、そこまでのドラマと沈むときの展開が否応なく凄まじい」タイタニックの方が遙かに面白かったです。

 ちなみに、エラソーに言ってますが、まだ「ダークナイト」は見てません(笑)。

 あ、それで、ヨメの感想。

 「妊婦むけじゃない。音響でびっくりしてお腹の子がぐいぐい動いて、産まれたらどうしようかと思った」

 ・・・・・・お疲れ様でした。